哀しい予感

哀しい予感 (幻冬舎文庫)

哀しい予感 (幻冬舎文庫)

 梅雨の時期に読み返すことが多いこの本。雨の日の透明感がそのままここにあるような。雨の日なんて出勤せずにずーっと雨を眺めていたいけれどね。世知辛い世の中です。

 改めてこの本を読むと、作者の人生を感じずにはいられない。彼女は少女から母になったんだなぁと痛感する。だってここには少女の気持ちは満腹なほど詰め込まれているけど、暴力的なほどの生の母性は見られないから。だから価値が下がるとかあがるとかはまったくないんですけどね。ただ思ったこと。

 しかし、美しいだけの現実なんてないわけで、姑息さみたいなものもちゃんと書かれてあって、そういうところがばなな好きをやめられない理由です。

 人は死んだら悪臭を放ちながら腐っていくんだ。でも、その人が輝いていたときと変わらない夜空がきっと見下ろしているんだ。そんなことはまったく書かれていないけれど、そういうことをいつも思う。この本を読んだら。