イッツ・オンリー・トーク - 絲山秋子 -

イッツ・オンリー・トーク

イッツ・オンリー・トーク

 過去の遺産パート5


 心の風邪をひきっぱなしの、ある女の話である。
 とても中途半端だ。救済も結論もない。あるのはそこで繰り広げられる生活だけ。
 しかしわたしはこの小説が好きだ。こころが平坦に保たれながら、決着らしい決着を見ることもなく、風邪が劇的に治るわけでもなく、ただ流れていく時間が好きだ。人生はそういうもんだ、と分かりもしないのに口走りたくなる。

 時々居心地が悪くなる瞬間がある。それは週に何度か感じるものだと思う。生きていることは居心地が悪い。でも、居心地がいいだけのところでは生きていけない。

 なんてね。言ってみたくなった。怒られそうだ。