スイートリトルライズ - 江國香織 -

スイートリトルライズ

スイートリトルライズ

 過去の遺産パート9


 どきり、とする言葉がいくつもあった。例えば「どういうわけだかわからないけれど、私は聡に対して飢餓状態なのだ」「なぜ嘘をつけないか知ってる? 人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」とか。そこにあるものが愛かどうかは個人の判断として。
 全体的に甘すぎるのかもしれない。相手を守るための嘘、自分を守るための嘘が立ち込める夫婦の日常生活は極上のスイーツのごとく甘いけれど、果てしなくビターだ。だからこそ甘すぎる。

 千切れそうなほどの切なさに飢えたときには、この一冊。