わたしを離さないで - カズオイシグロ -

わたしを離さないで

わたしを離さないで

 部長さんからいただきました。アザーッス。

 はじめてのカズオイシグロ。はじめての日本生まれのイギリス人作家。はじめてのブッカー賞。そして、久しぶりの海外文学。

 これは完全に、完璧に物語だ。丁寧に編まれた上質な麻布。そんな印象を受けた。日本人作家で言えば小川洋子さんのような丁寧さと隙のなさ。でもまったく毒がない。それでいて嫌味でも痛烈でもない。ただ美しい物語でした。

 書かれているテーマ自体は重い。今後のわたしたちの生活にはいやおうなく関わってくることになるでしょう。そのとき自分はどう思い、どうするのか。この本の中には答えが書かれていない。

 わたしは、人間以外の生き物が、それが自然発生したものでもAIでもクローンでも、人間を超越していけばいいと思っている。アメリカンエンターテイメント映画みたいに追い詰められたとき、自分が戦うのか諦めるのかわからないけどね、少なくとも今は踏み越えてついでにあたしも連れてってと思ってる。ねえ、なんで追いやられなきゃいけないの。同じだけ喜んで悲しんで耐えて越えて、同じ空の下で生きてるもの同士なのに。生まれてきた理由なんて、あたしたちにだってないのに。