- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/09/26
- メディア: 単行本
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過去の遺産パート12
惹かれあっている男女。女性の勤める「お台場」と男性の働く「品川埠頭」の距離はたったの1km。
全体的にパンチの弱い話だな、と読んだ直後は思った。けれど、今思い起こしてみてみると、不思議なほど残像が残っている。そもそも、出会い系サイトで知り合った男女であるから、いくらかは距離があり乾いており怠惰で、なにがあろうと仮想現実のような印象を受けたのだけど、後半からぐぐっと生々しくなってゆく。劇的ではないのだけど、主人公のいる風景に血が通っていくようだった。最後の場面が特に好き。
それにしても、ヒロインに感情移入できない。できないと、恋愛小説は楽しくない。