光ってみえるもの、あれは - 川上弘美 -

光ってみえるもの、あれは

光ってみえるもの、あれは

 過去の遺産パート14

 家族小説、青春小説。どっちでもいいでしょと言いたくなるような、爽やかな後味の良い作品。

 物語のはじめのころ、彼女とやりまくりたいとか言うくせに随分子どもな翠くんが、なんだかんだと振り回されて、右往左往して、なんだか生殺しみたいなことや、ありがちな景色や、自然と来年の今を思うような健全な心持ちの最中に、いろんなことを思ったり考えさせられたりしながら夏を過ごしている様子はまさに成長というのだろう。でもそうは言いたくない。
 同じくらいの年のころ、こんなにドラマティックではないにしても(例えば友達が女装して学校に来たり)毎日なにかしらがあって、心動かされたり、閉ざしたり、甘えたりしていたように思う。きっと誰もが経験しているであろうこと。昨日のわたしと今日のわたしは少し違う。新陳代謝が盛んだから、毎日少しずつ違うのはあのころは当然だった。振り返ったとき、もしくはその最中、それを成長なんて呼べるだろうか。なんだか物足りない気がしなくはないですか? そういう気分になった本。