泳ぐのに適切でも安全ではありません

泳ぐのに、安全でも適切でもありません

泳ぐのに、安全でも適切でもありません

 再読。大人の女性のための五感を使った恋愛講座。第15回山本周五郎賞受賞作品。

 この人はタイトルがうまいなぁといつも思う。シンプルなタイトルなんだけど、ああ、そっかと思わせる。

 この世に安全な場所なんてなく、絶対な安心なんてなく、五感は常に開かれていて否応なく感覚は流れ込んでくるものだ。そんなこと分かってるけど、改めて短編にされるとそれはすごく崇高なもののようで大切にしなきゃと思ったりする。

 自分を大切にするということは、自分を甘やかせるということは、自分に甘くいるわけではないのだよね。そういうところが絶望的なほど大人の女性なのだと思います。

 ボーリングをする3人の女性の短編「うしなう」は、かなりホラーです。それぞれの小宇宙を感じながらも、そこから出られないし出るつもりもない女性たちの会話。こんなの書ける男性作家はいませんよ、たぶん。

 個人的に一番好きなのは「うんとお腹をすかせてきてね」と「サマーブランケット」。全身全霊で恋愛している女と、生きながら死んでいる女の物語は、それぞれ刺激があって何度読んでもいとおしいです。