王国〈その4〉アナザー・ワールド

王国〈その4〉アナザー・ワールド

王国〈その4〉アナザー・ワールド


 読み終わってしまった。残り10ページをどれだけ惜しんで読んだことか。わたしはこの世界が好きで好きで仕方ない。

 王国シリーズで主人公であった雫石の娘、ノニの話。超ゆがんだ家族だよ。これはもう「家族」の体を成してないのでは。と思うけれども、そもそもお父さんがいてお母さんがいて兄弟もしくは姉妹がいるのが家族というわけではないのだ。血のつながりだけが家族だとは、とても言い切れないのだ。

 ノニが大きな別れを経験し、同時に大きな出会いも経験する。ノニの喪失感は壮大すぎて悲惨すぎる。価値を付けられないもの同士が分つのはたいていお金だったり地位だったりするから。

 序盤は「ああ、これはあの王国シリーズの別世界なんだな」と思っていたけれど、雫石が出てきてわたしは王国の世界へずるーっと引きずり込まれる。知ってる。この人知ってるよ、あたし。大好きな人だ、よかった大好きなまま、雑でおおらかで清いままだ。

 パパ2という名前で登場する彼もまた、わたしの知っている人だ。なんでもずげずげ言ってしまって、まったく身も蓋もないよね、と思いつつ、彼が登場することをわたしは心から喜んだ。

 この本で感じるのは懐かしさだけではない。人間同士が作る立体感を、マンリケを見たこともないわたしは感じた。何を大切とするのか、どこを心に残すのか、どういう気持ちを持ち続けようと思うのか。それを親がどうやって伝えるのか、ここには書いてあるように思う。

 パワースポットとかヒーラーとか流行ってますが、確かにわたしも嫌いじゃないが、心の持ち方ひとつ違うだけでインチキになってしまうもの。わたしはずるーい人間なのでインチキにお金は払いたくない。彼らのような心持の人となら、光った時間がわけてもらえるような気がした。

 王国シリーズ読み直しだな。