窓の灯

窓の灯

窓の灯


 第42回文藝賞受賞作。なんで借りようと思ったんだっけ。たぶん「ひとり日和」を借りようと思ったんだけど貸し出し中だったからこっちにしたんだと思う。

*窓の灯

 なんとも言い難いイライラとする物語だった。イライラというのも、個人的にイライラというのではなくて、ある時期に感じる他者と自分と、他者の世界と自分の世界と、曖昧になった時にひどく感じるジレンマのような苛立ち。

 大学を辞めてぐだぐだしてるときに拾ってくれた「姉さん」は自分とは逆の人だ。白くて女らしくて美しい。自分は黒くて夜中に散歩と称して人の生活を覗き見る。姉さんは美しいから男たちが店に来る。姉さんは誰しもの特別であるかのように描かれている。主人公は? 隣の部屋のレースカーテンの向こうでさえ覗き見ようとしている。

 姉さんのおそらく一番大事な人に向かって、姉さんと一緒にいる時にひどいことを言う。わかっていて言う。その小さなことはおそらく彼女の「決壊」なんだと思う。しかし、二人は気にとめない。この手ごたえのなさ。

 大きいのか小さいのかわからなくなってくる。なんだかしっくりこなかったです。ああ、あたしが若くなくなったからかもしれない。

*ムラサキさんのパリ

 ムラサキさんは村崎という。パリに行きたいおばちゃんだ。なんだか変に勢いがあって、自分の娘の事を「あたしに似たら美人だったのに」みたいなことを言ってのける。パリに行ったこともないのに「自分はパリ生まれのフランス人だと思うの」なんて言う。なんだ、かっこいいな。

 後輩が恋をしていて、まぁあっさり破れるんだけどそのときの主人公の対応がなんとも浅い。浅さゆえにムラサキさんがなんだかよけいに色濃くなって、なんとも村崎さんに惚れそうです。奇天烈なおばちゃんだけど。