- 作者: 東浩紀
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/12/18
- メディア: 単行本
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第23回三島由紀夫賞。内容はAmazonさんから。
2035年から届いたメールがすべての始まりだった。モニタの彼方には、まったく異なる世界の、まったく異なるわたしの人生があるのだ──。壊れた家族の絆を取り戻すため、並行世界を遡る量子家族の物語。
突っ込みどころは満載だが、あえてそこは突っ込まずに家族というところに軸を置いて話そう。
家族とはなんだろう。血が繋がっていれば家族だろうか。ひとつ屋根の下に暮らせば家族だろうか。では、昔からある風習「養子」に出た子は家族ではないのだろうか。逆に遠縁でも血の繋がりさえあれば家族なのだろうか。
この小説では量子力学やら科学用語がたくさん出てきて非常に見えづらくなっているが、結局のところパラレルワールドの時間軸が違う人たち──血の繋がりはある──を家族と呼ぶかどうか、ということを話しているんだと思う。そしてわたしは個人的にそれは「家族ではない」と思っている。
思想家から小説化へ、という東の試みは「作家としてはまだまだです」という感じは否めないだろう。なにせ説明が多い。ストーリーはWiki先生ではないからのう。借り物の本だけど、貸してくれた本人が「龍の『五分後の世界』ってやっぱすごいなって思う。作家だなって。」と言っていたのが印象的です。
小説の中では春樹やディックを多用するけれど、龍の『五分後の世界』の設定だもんね。いや、そんな小説たくさんあるのは知っているよ。SFの定番と言ってもいいのかもしれない。ゲームノベライズは昔からあるしね。RPGもそこ。結局どの選択肢を選ぶのか、で未来が変わる、そういうこと。
説明文が長いけれども、最後はよくまとまってると思う。作者なりの「家族に必要なものとは」というのが表現されていて、これはこれでいいんじゃないかなと思います。
しかし説明が長いよ。いやマジで。