紅茶スパイ

紅茶スパイ: 英国人プラントハンター中国をゆく

紅茶スパイ: 英国人プラントハンター中国をゆく


 内容はAmazonさんから。そもそも興味を持ったのは日経の書評こちら)。

19世紀、中国がひた隠ししてきた茶の製法とタネを入手するため、英国人凄腕プラントハンター/ロバート・フォーチュンが中国奥地に潜入…。アヘン戦争直後の激動の時代を背景に、ミステリアスな紅茶の歴史を描いた、面白さ抜群の歴史ノンフィクション

 今世界中で愛飲されている紅茶の旅。旅なんて生易しいものではなかったけれど。ロバート・フォーチュンに今、この時代を見せたいと一瞬思ったけれど、見せる必要はないのだ。彼は当時の中国で十分に茶の魅力を味わい、楽しみ、愛する人たちを見ているのだから。

 香辛料や茶などはいまや生活の当たり前になっているけれど、ほんの200年前は当たり前ではなかった。日本の家庭の味とも呼ばれるカレーだって、50年前のカレーとは違う。技術が恐ろしい速さで地球を狭くしているんだと思った。

 全ての植物学者たちに感謝したい。植物を愛していなければこんなに大変なことはできないだろう。それが単なる学者バカであっても、真正面から向き合わねば到底できることではない。タイトルに「スパイ」とあるけれど、フォーチュンは旅した中国の文化そのものを好きになったはずだ。盗んだことは事実かもしれないが、スパイ行為より好奇心と植物への愛があったからこそと思う。

 血なまぐさい話も多い。アヘン戦争に始まりインド大反乱を受けて東インド会社がイギリス政府に譲渡されるまでが主な内容だが、どちらも血が流れている。フォーチュンが中国をさまよっていたときでさえ、中国内部で紛争は起きている。歴史は血なしには語れないのか。

 ただ、この本を読んだことでわたしの一杯の紅茶への思いは変わる。よりいっそう美味しく頂くことになるだろう。