- 作者: 吉野源三郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1982/11/16
- メディア: 文庫
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駆け込み読了。梨木さんの「僕は、そして僕たちはどう生きるか」を読んだのでせっかくだと思いまして。あらすじ、なんてないだろう。これは小説とは呼びがたい。啓発書です。
こんな叔父さんが側にいてくれたら心強い14歳を過ごせただろう、と思う。でもコペルくんのように素直に聞くことができただろうかと思う。14歳なんてひねくれるもんです。
実家が第一次産業だから、否応なく仕組みを見て育ってきた。その仕組みはシステムとも呼べる。そしてそのシステムには土地柄や家柄も含まれる。言葉にこそできないながら、有無を言わせない勢いに憤ったり落胆したりしたものだけど、これだけ理路整然と書かれていると清々しいですね。
この本の中で暮らせたら楽なのかな、と思う。むしろ、善良であり続けることに疲れてしまいそうだな、とも思う。邪心とは生まれ持ってるものなのか、どこかで生まれてしまうものなのか、わかりません。
ただ、この本はよい本だと思う。そして、これは学校なんかで取り上げてはいけない本だと思う。
上級生に責められる友達の中に入っていけなかったコペルくんは意気地なしだけど、ごめんなさいが言えたからいいと思いますなんて回答は、誰でもできるし、多分先生は100点つける。こういう問題を愚問にしてはいけない。
タイトルを改めて見よう。「君たちはどう生きるか」だ。こう生きろではない。これを嫌う人はいるだろう。それはそれで個人の価値観の問題なので尊重したい。わが道を行け。