夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです


 文庫版は最新のインタビューもあるそうなのでうっかり買ってしまったのです。単行本もあるし、もうなんていうか天国。

 古川日出男のインタビューが相当に突っ込んだところでかなり面白かった。古川日出男はベルカしか納得できるものはないんだけど(すみません)、彼の切り込みはとても鋭くて直接的だった。春樹の描いてきた世界の変遷をきちんと踏んだ上でのインタビュー。それは春樹があまり語らない自分の描いた物語の解説でもあるわけです。

 わたしは幸い春樹と同じ日本生まれの日本育ちなので彼の本は後追いながらほぼ出版された順に読んできた。だから羊シリーズからねじまき鳥へ、そしてアンダーグラウンド、アフターダークカフカと続く道のりを、彼の描いた順に追っていけた。とても幸福なことだったと思う。

 作家という職業への彼の姿勢がどれほど異端かはわからない。けれどもタイプとしてはとても納得がいく。頭を使うのだから、体を鍛える。この考え方はとても好きだ。あと、海外での彼の活躍(サイン会とか講演とか)について、一人の日本人として誇りに思っていたが、姿勢を知ってさらに感動した。日本という国の文化人として、彼はインタビューに真摯に答えているのだ。日本人として。

 世界は広い。わたしは日本のごく一部しか知らない。しかし世界は広い。この広い世界で、日本人であるということを意識して日本人としての文化を広げてくれている彼に感謝だ。そしてわたしは彼の文章からイタリアやシドニーやアメリカを、その極一面であろうけれど、肉眼で見た姿を知ることができるわけだ。いいよね、そういうの。