お薦めの本は何ですか

 要するに、とてもヒマだったということだ。


 インタビューありがとうございます! 遅くなりまして申し訳ありません。

 お薦めは非常に困りますね。どなたか分からない。

 好きな本のジャンルがある方にはその嗜好に沿ったものをと思うのですが、それでもわたしは自分の好きな物を混ぜちゃうのであまり良い紹介者にはならないんです。そして最近の売れてる本はほとんど読まないのでナウじゃないです。ご了承ください。

 彼方が男性の場合、かなり高確率で「TUGUMI」か「キッチン」をお薦めします。なぜか。吉本ばななの本は色あせない斬新さがあるんです。文章的な小難しいことは正直分かりません。ただ、彼女の小説には日本人作家とは思えないほどの手ごたえがあるんです。これはわたしが何度も何度もこの小説を読んで、それでも確実に毎回変わらず思うことです。日本語でこんな表現が可能だったんだと思い知らされるのです。構築、とは全然違うところでいきなり感覚的で、現実的にもそうなんですが、世界に通用する表現ってこれかと思いました。次に川上弘美の「物語が、はじまる」か「蛇を踏む」をお薦めします。これは相当偏った感想が聞けそうだからです。ある人は「恐ろしくて読めない」と言いました。ある人は「意味が分からない」と言いました。ある人は「深すぎて怖い」と言いました。わたしは、好きな世界観です。「真鶴」が一番好きなんですが、長編小説って投げ出しちゃえるから短編か、中編ぐらいがいいかなと思います。わたしは投げ出した長編が多いのです。カラマゾフとかいつ読み終わるんだと思ってる。最後に、江國香織さんの「いくつもの週末」というエッセイを。彼女はとてもお嬢様なので東京タワーのてっぺんみたいな人ですが、女の人ってそう思うんですよ、そういうときはね、というのがとってもたくさんあるエッセイです。読んで怖くなってください。比較的バブリーじゃないから抵抗感は少ないと思う。

 彼方が女性の場合、長嶋有の「夕子ちゃんの近道」をお薦めします。男の人の可愛らしさがたくさん詰まっていて、しかも男性作家が書いてるから変にBLっぽくもなくて、出てくる人も変な人ばかりで、なのになんだか温まる抜けっぷりで、いいと思うんです。こ、これがいわゆる「ナチュラル」ですわ、と思う。これは大江健三郎賞を受賞された作品なんですが、ここから大江さんへの道が開けても面白いんじゃないかと思います。意外と女性で大江さんを読んでいない人が多いなーと思うので、単に女目線で大江さんを語れる相手が欲しいってのもありますが。すみません。邪です。高橋源一郎も女性読者が少ない気がする。まぁ、仕方ないのはよく分かる。でも好きなんだ。次に川端康成の「片腕」をお薦めします。一時期川端作品は睡眠剤並みに良く眠れる小説だったんですが(おかげで全然読み終われなかった)、この小説は短いこともありますが、なによりエロいんですよ。気持ち悪いより先に切なくてエロい感じがいいです。すごく好きです。ある意味すごくまともなので、うん、まともです。どういう意味か自分でもよく分からなくなってきた。最後に、うーん、梶井基次郎の「檸檬」か寺山修二のどれかか迷うなぁ。でも彼ら、女性ファンが多そうですよね。フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るのか」をお薦めします! 硬派なSFですが、これを読んだら「ああ! 男の子が好きなのはこういうことか!」とすごく納得したんです。映画の方がお手軽かもしれません。映画は見てればいいから、ね。うん(苦笑)。映画もすごく好きです。あれから古典SFをまとめて読んだのですが、得手不得手は極端でした。フィニィは好きです。そういう嗜好です。

 こういうことを考えていると、向田邦子さんのエッセイを読みたくなってきました。ジャズを聴きながら読むととてもいいですよ。女子がもだえ苦しむほどのモダンと可愛らしさと重みがいいんです。いろいろ考えちゃうから春樹のエッセイあたりで手を打つとは思いますが。春樹がお薦めにないのはわざとです。個人的には大好きなんだけど、どーにもダメですって人もたくさんいるので、あまりお薦めリストに入れないのです。

 ちなみに今年の一番は梨木香歩さんの「沼地のある森を抜けて」でした。「ぐるりのこと」も最近手元に置きっぱなしの本です。

 以上、長くなりました。申し訳ありません。暇だったんだな、この人、と思ってください。