- 作者: 江國香織
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/02
- メディア: 単行本
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大人乙女のエッセイはおしゃれで遠くてすぐそばにある。
江國さんのエッセイはハズレなしだと思っている。予想もつかないブルジョワさが漂っているのだけど、なんだか親近感が湧く。それは彼女がひとつのことについて真剣に(時には凝視するほど)カップラーメンについて語ったりするからだ。なんてかわいいの。
旅は目的も予定も立てずに行っていたという。若い頃の江國さんはアグレッシブだ。今は行動こそアグレッシブではないとはいえ、思考回路がアグレッシブだ。恐らく男性からみたら驚異的だと思う。豆まきの豆は、外に向かって投げるとき、急いで窓を閉めなきゃいけないとか。抱きしめたくなること間違いなし。
育ちがいい人なので本当に程遠い人だなと思う。妹さんのはなしもぼちぼち出てくる。妹さんの書いた文章も読んだことがあるが(某所で交換手紙してましたね)もっと地に足を着いた感じがするんだが、でもやはり姉妹だと思う。うちの姉妹でもありがちな、きっと血を分けていないと分からないニュアンスの違いとか、かなり大事。
父親のことが登場する。古きよき昭和を思わせるような佇まいの、暴君の、繊細な人だ。母親も出てくる。忙しくしていて、父親が絶対で、愛情に溢れている。そして江國香織さん自身が年を取ったという。両親も他界し、自分も大人になってかまあげしらすを食べている。なんかこう、わかりますか。わたしはこういう世界が好きなんです。