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ある日、一般家庭用コンピューターの処理能力が上がり、強力な物理シミュレーションが可能になりました。それは壁の傷を逆演算することで過去に起こったことを見ることができる、いわゆるサイコメトリック装置にもなります。 検索機能も充実しており、見たい情報を絞り込むことができます。 顔認知機能付き、大体の立体は自動的に情報として認知され、誰が何時何をしたかも記録できました。 最初は機密が簡単に知られてしまうという理由で多くの公的機関によって使用が制限されましたが、家庭にあるものを少し改造するだけで簡単に似たようなものが作られてしまうので規制のしようがなく、ついにはそれは車の速度規制並みに無視されるようになりました。 この装置によって何が起こるか予測してみてください。

 攻殻機動隊タチコマの家出を思い出しますね。ある映画監督の電脳を拾ってきたところ。多くの人がそこから出られなくなってしまう。しかし、その多くの人はこの機器同様「速度規制並みに無視される」ようになるんでしょう。国民の絶対数は変わらないのに税収は減る。収入が激減してにっちもさっちもいかなくなるまで国は放置するでしょう。その頃には国籍を持たない、その世界から出られない人、あるいはその世界には戻れない人が大勢いて、さて困りましたね、となるんじゃないでしょうか。その頃にはきっともう公認、いや黙認が前提でしょう。無法地帯を統治するためには緩和か黙認か悪用が一番使いやすい。

 犯罪捜査の役に立ちそうですが、それを簡単に作る技術があれば偽造する技術も簡単にできてそうです。真実とは何か。結果的に壁に傷がついたとして、それは兄弟げんかの末なのか、出来心なのか、夫婦喧嘩の傷跡なのか、成績が上がらない長子のささやかな抵抗なのか。どんな原因であれば許されるのか。誰が、誰を?

 そういうわけでタチコマの家出です。

 使うかどうか。それはテレビもラジオも携帯もパソコンも、すべての決定権は自分にある。そう思えばそれが必要かどうか、あんまり考えなくても分かりますね。