N・P

N・P (角川文庫)

N・P (角川文庫)


 毎年夏になると読む本がある。この本もその中のひとつ。夏の物語を夏に読む、これは私の正しい夏の迎え方なのだ。

 毎年読むたびにページの端を折る。ページを折るたびに本は傷むが、それは私の歴史そのものだと思っている。

 一人の作家が書いた小説を中心に、4人の登場人物たちがひと夏を過ごす。たったそれだけの短い小説だ。N・Pはノースポイントのことだ。

 主人公と、その友人たち。友人たちは遠からず血が繋がっている。いわゆる近親相姦だが、不思議とそこに気持ち悪さや居心地の悪さ、ナルシシストは感じない。むしろSUIという人の生々しさに恐怖を感じる。主人公が土砂降りの中資料のコピーのついでに物語の主軸となる英文の小説をコピーした後のエピソードだ。ありふれたウーロン茶のペットボトルで殴られる。そして爆発的に泣く。子供のように。少し冷静になったと思ったら鼻血を出す。なんなんだ、この生々しさは。

 人はみな自分さえ知らない慟哭を持っていると思う。SUIという人を見ていると、自分のそれが刺激される。SUIは呆れるほどに「どうしようもない人」だが、憎めない。まったく憎むことができない。それは自分の中にもあると、どこかで感じているからだろう。

 主人公は不器用だが健全で、でもどこか危うい。特にラスト、OTOHIKOと焚き火するシーンの最後の会話の危うさは、KITCHENのYUUICHIとMIKAGEの会話そのものだ。本人たちが「呪われた関係」と呼んでいる部分に交わるかもしれない。しかし、それはすごく当然のことのようにも思える。なぜなら、これほどまでに近づいてしまったから。

 日本語で「祝う」という漢字と「呪う」という漢字は部首が違うだけだ。私はこのことを「発せられる部分の違い」だと思っている。

 今年もみんなが良い夏がすごせますように。
 ちなみに、日本での装丁は3人の女性がそれぞれに金魚鉢を抱えている。素敵だ。

http://cimacox.blogspot.jp/2013/06/np.html

 コピペで手抜き。サーセン。