生きることは物語を作ること、をテーマに日々哲学するブログ

生きるとは自分の物語を創ること

日々のじだんだ ~見習いみかん農家4年目~

女はみんな生きている

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 女にとっては、どうだろう。ハッピーエンドだからラストは微笑みがこぼれるけれど、これをハッピーと呼んでいいのかとも思う。

 壮絶な人生を歩んだノエミと、裕福で忙しい主婦のエレーナのあいだで交わされた会話「愛ってわかる?」「セックス?」「全部の男がそうじゃないわ」というのは結論が出ないまま終わった。これは見ているわたしへの問いかけだろうか。

 いい映画だと思うんだよね。ストーリーも展開も上手いし引き込まれる。けれど哀しいのだよ。憎しみが、怒りが、全ての原動力になってしまっているのが。これは女の監督で、女性ならではの視点、あるいは感情を綺麗に面白くまとめているけれど、疑問が残るの。そうね、まともな紳士が出てこなかったからかもな。でもそういう人生もあるんだよね、きっと。あーわたしが平和ボケしてるだけかもしれないけど、チャーミングで親切な男の人が欲しかった。一人でもいいから欲しかった。だって男の人が全部愚かでひどい人ばかりじゃないからさ。

 ここで完結して欲しくなかった、というのが正直な感想。見終わった直後は「いい映画だ!」と思ったんだけど、よくよく考えたら、ね。

 誰か一人でも親切な大人がいれば、親切な人がいれば、人生は充実するのかもしれない。しかしそうするには強靭な生命力と信念が必要なんだと思う。一人で、その親切な誰かのために生き残れる人はそう多くない。だから人は異性を求めるんじゃないかと思う。最近同性でもいいかと思ってるけど。人類のラグナロクの足音が聞こえるねえ。

 ノエミが妹を迎えに行ったとき父が言う「呪いをくれてやる」。ノエミは答える「贈り物は初めてだわ」これはフランスでエスプリとして笑えるのか? 今のフランスは人種の坩堝となっていて、住みたいとは思わない。わたしが中学生ぐらいのころのフランスは憧れだったんだけどなあ。

 女性監督といえば「ゆれる」を思い出すんだけど、あれも相当きましたね。女のほうがやっぱエグいツボを外さないね。これはバイオレンスでもヒューマンでもミステリでもない。なんだろう、わからない。ラストのシーンはじんとするけど、なんだか男が全員哀れで同情しちゃう時点でわたしダメ子ですかね。

 あ、そうか。これはバイオレンスではなくてフォースだからだ。男が寄ってたかって女をダメにしようとするのはバイオレンスじゃない。ただの暴力で、それは最低だけど永遠に続くんだろうと思うから、哀しいのか、わたしは。