エストニア紀行

エストニア紀行: ――森の苔・庭の木漏れ日・海の葦

エストニア紀行: ――森の苔・庭の木漏れ日・海の葦


 清らかで美しく、そして美味しそうな旅の本です。キノコ好きにはたまりません。でもわたしは野に生えている種類まで分かりません。

 梨木さんのエッセイは硬質だ。世界中にいるであろうエロ親父にさえも「この存在は、必要なのだ」と心広く受け入れる。というか、その様がとても面白いんですが。エロ親父はエロ親父でいいと思うよ。

 ちょっとした怖い体験や自然のいたずらやエストニアという国の歴史や鳥のことがつづられている。単にそれだけと言ってしまえないほどにひとつひとつを丁寧に汲み取って落とし込んでいる。いい逃げ、みたいなことはひとつもない。潔い。美しい。

 わたしはエストニアがどこにあるのかさえ知らなかったけれど、パワフルなおばあちゃんや無用心すぎる印がとても愛おしく、ものすっごいエストニアに行きたくなりました。

 梨木さんが森で佇んでいる姿は美しいんだろうなあ。森の精霊のようだろうなあ。