毎日書こうという魂胆

 20日ぐらいから、毎日書こうとしている。何もない日はないのだけど、特記することがない日というのは多い。けれどきっと、私はこの画面を前にしたら無心で何かしら書くんだ。その無心を拾おうと思って毎日書こうという魂胆なんです。ほら、無意識って拾えないから無意識じゃん?

 塩鯖が倒れたのが2日前、今日も40度の熱でもうろうとしている。解熱剤も効かない。もちろん病院には行くのだけど、特効薬がないのは難病の辛いところ。いや、特効薬がないわけではないが、身体に負担が大きいのであまり気が進まないのだ。ちなみに、ドーピングで捕まるやつと同じ薬なんだそうです。だから投薬すると瞬間的に良くなるのだけど(視力まで!)、普通の人ならば自前の免疫で「チェスト!気張るで!」と頑張れば済むようなところなわけで、特効薬をじゃんじゃん入れればいいじゃん、っていう話ではないのが辛いところなんです。

 しかし、40度っていう体温は人間じゃない感じだね。温度としては風呂の湯ぐらいなんだけど、固体になるとそれ以上の温度に感じる。

吹上奇譚 第一話 ミミとこだち

吹上奇譚 第一話 ミミとこだち

 今は高熱だけれども、昨日は38度位だったので私は本を読んだりドラマを見たりしていた。で、この本を読み終わったわけだ。ホラー小説のはずだが、ホラーの要素はほとんどなくて、王国シリーズに似た「サザエさん感」がある。サザエさん感とは、懐かしさと同時に襲ってくる「この人たち知っているなあ」という、長年この著書を読み続けてきた私だから感じるものか、それとも初見の人でも感じるものか、よく分からない親近感のこと。ちなみに私は13日の金曜日とかフレッシュデリでも感じたよ。

「この物語は、50年かけて会得した、読んだ人の心に命の水のように染み込んで、
魔法をもたらすような秘密の書き方をしています。もしよかったら、このくせのある、
不器用な人たちを心の友にしてあげてください。
この人たちは私が創った人たちではなく、あの街で今日も生きているのです」

 王国でもたいがい変な人はいて、いや、彼女の小説はたいがい変な人で構成されている。だけどその変さってあくまで日常を出ないものであって、例えばこっそり指が6本あったって日常生活に支障さえなければ普通に生きていけるでしょう? でもちょっと普通の人よりは変なことがあるかもしれないけれど、普通の人だって予知夢を見たり、幽霊を見たりするでしょう? そんな程度のこと、特別ではないことなんだよ。むしろ、運命を変えてしまうほどのことというのは、指が6本あるとか、怪力だとか、ものと会話ができるということよりもずっと強力で強引で太刀打ちできないようなものなんだよ、ということが、端々から感じられる。人の持つ力とか、生まれてきたからにはやり遂げたほうがいい運命とか、そういう「生きるのに理由なんてない」「笑ってはいけない人なんていない」という全力の肯定を受け取る。

 昔々の小説を書いていないときのばななさんの、恐ろしいほど攻撃的な姿を思い出しては(私はそういうばななさんも大好きだったけど。守ろうと必死な姿は、ただただ圧倒される)、幾年月が過ぎたのかと感じる。そりゃ私も40歳になっちゃいましたしね。

 彼女のかけた魔法がどういうタイミングでこんこんと湧き出る水のように私を癒してくれるのか、それは分からない。だけれども、確実に私の中には「ばななの泉」があってだな、少なくとも出会ってからの30年ほどを支えてくれたのは私だけが知る事実だ。きっとそういう人は多い。すでに彼女は魔法を使いまくっていると思う。デビュー作では特に、手加減なしに魔法のステッキで直撃電撃みたいなショックを受けたことを、今なお覚えている。

 ちなみに、第二弾は「どんぶり」だそうです。

フレッシュデリはホラーだけどホラーじゃない、イケメンがイケメンに見えない、変に豪華な作品です。パッケージからしハンニバル的なものを期待して借りたら、相当にがっかりするであろうヒューマン映画。

フレッシュ・デリ [DVD]

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 もしかすると、私も魔法の言葉を使っているのかもしれないなあ。そして王国をつくりたいって、心のどこかで本気で「できる」って思ってそうな、気がするな。