生きることは物語を作ること、をテーマに日々哲学するブログ

芥川龍之介ってやっぱり天才だったんだなあ

 おはようございます。大雨警報がでっぱなし、こんなことはなかったな、未曾有の災害の危険性って言われても、これは分かるわって思う。けれど、うちの近所はそれほど土砂降りが続くことはないし、山もない。先ほど朝うどんに行った帰りに川を見てきたが(塩鯖は助手席で「40代の男女とみられる二人が……」ってフェイクニュースを流していたけど)、広い河川の幅にほとんど水の流れていない普段の川が、別の顔になっていた。河川の幅が広いということは、増水したときちゃぷちゃぷになるということだ。本当にみんな、川とか山とか海とか行っちゃいけないぜ。

 さて。

www.kodansha.co.jp

 私はネットでニュースを見ない。NHKのニュースばかり。なので村上龍芥川賞の選考委員を降りたニュースを見たのが昨日だ(大雨のニュースを見ようとしたのよ)。そのニュースについてきたのが、芥川賞候補で盗作疑惑だった。

※余談だが、そのニュースでは「第一回芥川賞に落ちた太宰治の恨み節」もちょっと書かれていて、何年たってもこれを言われ続ける太宰に少しの同情と、同時に愛おしさを感じてしまった。後にも先にも「お願い」したのは彼だけだ。なんて可愛いんだろう。

 異例の無料公開ということで、さっそく読んでみた。芥川賞候補になるということは短編小説であるから、サクッと読めるだろうなって思いと、でも芥川賞だからな、という思いだった。というのも、やはり芥川賞というからには「文学性」と「斬新さ」があるからこそ候補になったのだろうと思っているから。しかしこの願いというか、そうであってほしいと思う気持ちは、もうずいぶん前から裏切られ続けている。

 いろいろ思いながらも読んでみて思ったのは、どこかで見たことがあるような情景、文章ばかりだったな、である。文章が下手ですね、とも思わないし、ありきたりですね、とも思わない。けれど、はてなの匿名日記ならばあるのではないか、ぐらいのレベルだったと感じている。

「どこかで見た」とういのも、こういう小説あるよねではなくて、ネットのチラ裏的な感じ。いちいちが大げさというか大仰なのだけど、適度なバランスだから一件うまいようにも見える。けれどいわゆる「盛ってない」部分は単調なので、情景描写は想像力を刺激されない。多少の盛りは読者のため、100%自分のためには書いていない文章。起承転結がしっかり守られているあたり、文章コンサルからのアドバイスでもあったんだろうか、と思ってしまった。

 と、ここまで酷評しているけれど、じゃあ下手なのか面白くないのかと問われたら、テーマが好きになれないが下手でもないし面白くないわけでもない。けれど今、インターネットではこれぐらいの文章は読める。インターネットを引き合いに出してしまうぐらい「ネット的」だなと感じたのだ。

 ネットから生まれた作品も数多い。けれどネットから生まれた作品の多くは「抜群の完成度」だったことは少ないと思う。完成度が高いから作品になったのではなく、臨場感が人を惹きつけるから作品に繋がったのではないかと、私は勝手に想像している。じゃあ完成度は必要ないのかというと、そんなことはなくて、やっぱり作品と呼ばれるためには完成度も構成力も必要だろう。

 小説は、鋭い一文だけが書けたらいいわけではないと、私はずっと信じている。物語は人と現実を繋ぐものであると、信じている。

 小説の盗作に関して、私はたぶんかなり厳しい。なぜなら、あらゆる創作への冒涜だからだ。究極の選択ではあるが、まだネット炎上商法の方がマシだと思うぐらい、盗作はいかんと思う。講談社の言い分通り「参考文献を掲載しなかったミス」であるならば、きっとこれほどの問題にはならないだろう。けれど、参考レベルじゃないでしょこれ、レベルだから「盗作」と言われているのだろうと思う。

 確かに今は本の数が多すぎる。1年後に残っていないような本が特に多すぎる。本来残るべき文献や書籍が埋もれているんじゃないか、いやいや、日本の文化レベルはそこまで落ちてないはずだ、という変な自問自答をしつつ、いらん心配などすることはある。そんな大量の書籍の中から、盗作か否かを見つけるのはさぞかし大変なことだろう、っていうか無理じゃないかって思う。思うけれど、できることなら出版社にお勤めの人には、文化を守る意識というか、物語を尊重する姿勢を持ってほしいと思う。

 時代は変わってゆくものだ。けれど、おそらく派手なアピールはないながらも「書籍」という一つの文化、歴史に、並々ならぬ愛着を持っている人はたくさんいると思う。売れなければ商売にならぬということはよく分かるが、可能であれば、そういうディープな愛情の持ち主に向けての展開も、考えていただきたいなと思う。

 さんざん厳しいことを書いたけれど、じゃあお前が書けよと言われたらと、言われもしないのにビクビクしてしまう。

 あ、そうそう、作品としては、桐野夏生の「魂萌え!」とか、湊かなえ本谷有希子あたりと似た感じ。芥川龍之介羅生門の婆だけを切り出した、みたいな感じでした。