- 作者:森見 登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 文庫
こんにちは。id:t_kato さんがレビューを書いていたこの映画を、先日アマゾンで見ました。アマゾンありがたい。もうアマゾンプライムのない生活なんて考えられない(言い過ぎ)。
あらすじはアマゾンから。
小学四年生のぼくが住む郊外の町に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした。未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。
突然ペンギンや良く分からない自然現象や空想の生き物みたいなものが現れて、そして一斉に去り、主人公の少年がひとつ大人になるというお話。むちゃくちゃなようで、とても素晴らしい映画だった。
この映画を見て、懐かしさというのはどこから来るんだろうかと考えた。私はニュータウン的な街で育ったわけではないけれど、この映画に現れる風景や人々はどこかしら「懐かしい」と感じた。幾分かは、私にもあった子供時代の記憶がこの映画の風景のどこかに「憧れる」からだろうなとは思う。でも本当の出所なんてわからない。DNAが懐かしがっている、でいいような気がする。
成長過程で、日々大人になってゆく自分を、その自分が見た風景を、大人と言う生き物についての理解が深まって、失望と希望とを一日に何度も感じていたあの頃を。
大人になったからこそ分かるんだけど、大人になったからといって何もかもが分かるようになることなんてない。おおむね分からないものの中で私たちは暮らしている。だから理屈でどうにも片付かないこともあるし、理屈でどうにか納得して次に進むこともある。でもこの映画を見て、放っておくことってかなり大事なことだったのかもしれないなって思った。自分が受け取るであろうエウレカ*1を信じること。
古いお話、それこそ神話でも「人事を尽くして天命を待つ」という意味のことは書かれている。それが、できなくて、下手な理屈を列挙して、なんかちょっと違うなと思いながら「でもそういうことだよ」と納得して、進んでいくことの愚かさを再認識した映画だった。
大人になると強くなる「分かる」という驕りが見えなくしているものを、こんな形で見せてくれてありがとう。本当にいい映画でした。