
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1979/07/23
- メディア: 単行本
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春樹さんは大好きだ。読み終わったとき足元のおぼつかなさに愕然とさせられる。久々に読み返してみた。鼠三部作の最初。群像新人文学賞。若さの断片が散り散りに描かれている。
成熟していない年齢、ということは「若い」ということ。自分にとって若さってなんだったんだろうと思い起こすと、勢いと自虐、そして果てしない枯渇であったと思い出す。
若さなんて言葉にしてしまったら陳腐なものだ。どれだけ深刻であってもチープになってしまう。別にチープでもいいけど、正確な形を残そうとしたら膨大な文字数になってしまう。
わたしは素人本読みなので分析なんてできない。だから本を読んだ直後に書いているこれは、ただの記録に過ぎない。常々わたしは記録しか残さない。
この本に登場する「火星の井戸」は、救いのない話しだ。ラストを救いととらえるならば、生きていることの意味ってなんだよって問いかけたくなる。ただの暇つぶしかもしれない。延々と暇つぶしし続けるのが人生かもしれない。
わたしは77年生まれだから60年代を知らない。生まれる時代は選べない。今聴くビーチボーイズと60年代に聴くビーチボーイズは恐らく意味が違う。でもわたしはビーチボーイズもドアーズも好きだ。なんだか変な感じがする。自ら時代をさかのぼって今を否定しようとしているようにも見えるけれど、単純に音楽が好きなだけだ。意味がないところに意味を持たせようとつい考えてしまうあたり、春樹さんの小説はすげーなと思うところだったりする。
高度な技法で描かれている小説だけども、これは彼の処女作だ。好きな本しか読まないわたしは単純に「すげー」と思う。書いて消して切って貼ってしたって、こんなのできないや。夏になったとたんに読んだんだ、って今気づいた。これは夏の話だよ。
一番好きなところは「御清聴ありがとう」。