- 作者: 湊かなえ
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/08/05
- メディア: 単行本
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そうか、これはエンターテイメントだったのだな。そしてわたしは久しくエンタメを読んでいなかった。そういうことだ。これはミステリーじゃない。
恐ろしく読みやすいのは、一方的にしゃべられているのと同じだからだ。想像の余地を与えない一方的なしゃべくり。そりゃ飽きないだろう。理解、解釈という労力を使わない読み物は。
映画を見ているので話の展開は完全に把握している。その上で、映画はよくできてるなぁと思う。全く同じだから。小説は文字でできている、映画は光と音と言葉でできている。映画のほうは完全にこの「言葉」をそっくり持ってきた上で、映像にしてしまっているんだから、たいしたもんだよ。
で、小説はというと。読みやすい。そして分かりやすい。それぞれの章でそれぞれから見たその「出来事」や自分の「思い」や「生い立ち」が語られるが、全員身勝手だ。この小説に中で誰かが誰かを思いやっているところなど、ない。思いやっている振りをするだけで、全員が自分勝手に好きなことばかりしている。
263ページ。
それで、彼方に対するいじめが助長すればよいと思ってましたが、その矛先が北原さんに向かってしまったのは、本当に申し訳なかったと思っています。
それに、もしかするとあなたに殺されることもなかったのかもしれない。そう思うと本当に心苦しいのですが、そうなると、あなたたち子供はすぐに責任転嫁をしてしまうので、私のせいだとはいいません。
人としての未熟さを感じずにいられない。これも大人かと思うとぞっとする。とてもとても、イヤな気分になる。
人の思考を盗み見るのは楽しいのかもしれない。でも、わたしはこうもあけすけに見せられると、あまり楽しくない。
彼女が書く希望のあるものを読んでみたいと思う。人間が全員悪意の塊、自己中の塊じゃないということも、わかっているんでしょう。それなら、そういう物語を読みたい。
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途中からGreenDayを聞きながら読めるぐらいに軽いっす。映画見たからかも。GreenDayは良いものだ。