- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/06
- メディア: 単行本
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届くのが早かったので読むのも早かった。映画のとおりではあるけど、より散文的な表現が多くて、映画より分かりやすいと思うけどどうだろう。久しぶりにまた見たくなったなあ。
森さんの本は実は初めて。思っていたより親しみやすい文体でちょっと驚いた。もっとぎっちり濃厚なもんだと思っていたからな。このシリーズの登場人物たちは根源を持たないから、こういう文体にしてるのかもしれない。そういう意味では映画のほうが濃厚だったなあ。あれはやり切れない感じだったけど。
キルドレは子供といわれているけど、中身は立派に大人で、職業として区別しているだけなんだけど、その区別は世界平和のために必要な役割分担で、もしこの構図で世界が回りだしたとしたら善悪・正誤の判断が紙切れよりも薄っぺらくなってしまうから、世界の価値がないんじゃないか、と思うけど、たぶん同じことが今の地球のどこかで起きてるんだよね、と思う。でも世界には価値があると思う、これってエゴ。結局、鏡に映った向こう側を人は(少なくとも私は)美しいと思うんだろう。世の中のいろんなことを片付けられない、キルドレよりもあやふやな人だからな。
「本当の」なんて「絶対に」と同じくらい分からないものだから、あの結末の「本当の」ところは、なににも測れないそれぞれの人間が受け取るものだったんだろうと思う。
しかし、綺麗な表紙。全部初版で集まって嬉しい。嬉しい!