問いかけてくる本
塩鯖が入院している間、私はひたすらにクリミナルマインドを見ていたので録画が片付いていませんでしてね。まとめてマツコの知らない世界の録画を見ました。マツコは好きだよ、すごく好きだよ。マツコとミッツとナジャの賢さには、本当に感動すら覚える。できることなら今から女装家に生まれ変わりたい。
で、マツコがなかった時に池上さんの番組があったんだよね。そこで「君たちはどう生きるか」がテーマにあったので見ておこうかなと思って垂れ流してる中、そういえば梨木さんの方がよかった記憶が、あれ? 私読んだんだっけ? って振り返ったら読んでたわ。
アマゾンのレビューを見ると、おおむね高い評価ながらも「スッキリしない」といったやや評価の低い感想が目に飛び込んできた。私は自分が絶賛する本が、誰しもに絶賛されるべきとは考えていない。面白くなかったなっていうことだって当然あるだろう。私はだいたいそうだし(※1)。
ただ、これを読んでひとつ思ったことがあるんだ。もしかして、幾人かの人の意識としては「本には答えが書いてある(あるいは、作者の意志としてのひとつの答えが書いてある)」と考えているのだろうか? だとしたら、ぶっちゃけ推理小説だけ読んでおけばいいんじゃないかと思うんだがどうだろう。少なくとも犯人は分かる=答えはある。っていうと、とてもトゲトゲしいということは私も分かっている。けれども、小説とはある種、自分ただ一人に向けた問いかけが書かれているからこそ、何度でも読み、何度でも感じることができるのではないだろうか。
私はだいたいそういう妄想を抱いて本を開く。龍ちゃん(芥川龍之介)や谷崎潤一郎が私に話しかけている、と。江戸川乱歩なんて触ってくるわよ、エロいわねえ、とかむふむふする(宮沢賢治はちょっと別格で、私のような理屈っぽい人はこっちから歩調を合わせてないと賢治チャンネルは受信できない)。
これは大いに勘違いだということは百も承知だ。春樹やばななが私に向かって問いかけたことなど一度としてない。だけれども、私はそう感じながら本を開くのだ。この物語を描いているときの作者をいつでも感じたいと思うから、わざわざ本を手元に置くのだ。
きっと、このブログを読みに来てくれる人は、間違いなく文章を読みに来てくれている人だから言わなくていいと思うけれど(いつも読んでくれてありがとう!)。
本当に誰かの答えに満足できますか?
私は年を取り、けっこうなんでも「うんうん」言えるようになりました。塩鯖は「いや、そんなことは」って言いそうだけど、二十歳ぐらいのころは世界に楯突く生き方してましたんでね、丸くなりましたね。
※1について
親切心で貸してくれた本が面白くないとき、非常に辛くなる。それが最初で最後だと感じられれば「ええ、良かったですよ。とても興味深い箇所がいくつもありました」とか言える。だけど一度や二度で終わりそうにもないとき、とてつもなく正直に「悪くないけど良くもない」とか言っちゃって本の貸し借りはほぼなくなる。これは興味のない本ばかりを借り続ける事態は避けるためであるが、まったくもってお勧めしない。
そんな私の「直接のお断り」を軽く超えてバンバン本を貸してくれる人がいた。ロック野郎である。エレカシのボーカルが本好きだから、私はエレカシが好きだろうという気持ちの良いほどの安直さ。逆に見習えばよかったのかもしれないと思う。彼は傷つくことがあるのだろうか(地味にひどい)。ちなみに、1Q84を貸してくれというので、初版の単行本を気が気じゃないままに貸したのだけど、2週間後に「開きませんでした」とそのまま返してくれた。汚されるよりずっといい。
- 作者: 秋元美乃,森内淳,浅井健一
- 出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク
- 発売日: 2012/04/20
- メディア: 単行本
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これ貸したんだから、1Q84貸してよって言われたんだよ。いろんな意味ですごいと思わない?(※彼とはけっこう仲良しでしたよ)。