国のない男

国のない男

国のない男


 この本は購入決定。わたしが好きなアメリカ文学はここだったのか。マーク・トウェインの死後12年経って誕生したアメリカ文学の後継者。

 エッヂの立ったユーモラスな文章で痛烈にブッシュをアメリカを批判する。わたしの好む回りくどさ、隠喩はここにあったのか。ヒューマニズムに富んでおそらく周りの人間を楽しませようとしていたのであろう彼の文章はとても楽しい。しかし、非情な現実も目をそらさずに、むしろ牙をむいて書いている。

 96ページ。

 うちの大統領はクリスチャンだって? アドルフ・ヒトラーもそうだった。
 今の若い人たちが気の毒で、かける言葉もない。精神的におかしい連中、つまり良心もなく、恥も情けも知らない連中が、政府や企業の金庫にあった金をすべて盗んで、自分たちのものにしている、それが今の世の中だ。

 元気なじいちゃんだったんだな。マーク・トウェインのエッセイもいくつか読んだけれど、こんな感じだった。とにかく上手い言い回しで、言いたいこと以上のことが伝わってくる。腐敗した資本主義について社会主義の国からなにか発言があればおそらくそれは攻撃と見なされるだろう。しかし同じ資本主義の国の人がユーモラスにかつ気が利いたジョークで批判するとどうだろう。化石燃料中毒か。そうだな。ドラッグよりずっとタチが悪い。

 彼はニヒリストだといわれていたようだが、どうもそうは思えない。ニヒリストがこんなに温かく優しいわけがないじゃないか。

 彼の小説を読んでいない身分で言うのも変だが、わたしは彼のことがすごく好きだな。だからこの本、手元に置いておきたい。