グスコーブドリの伝記


 苦手と言いつつ、読んだ。青空文庫さんありがとう。


 この物語はプラネテスに登場するので読み直し。風の又三郎や銀河鉄道の夜よりは読みやすい。しかし、ブドリの心情があまり描かれておらず、終盤はえらく駆け足で拍子抜け。こんなんだったか? こんなんだったんだ。


 ブドリの心情が明示されていないから特にいろんな解釈がされてるんだろうなぁ、と思います。それでいいのだ。想像力を使わない読み物はつまらない。だけどここまで心情が書かれてないと、ブドリの気持ちを想像するのも難しい。宮沢文学を追っかけてないので難しく感じるだけかもしれないが、せめてイーハトーヴくらい読んで挑めばよかったか。


 ブドリは農業を学び、天候を動かす技術まで習得した。火山の噴火のために最後まで山に残った。彼が両親の死を知らされなかったら、果たして彼は火山に残っただろうか? もちろん分からない。わたしの個人的な感想としては「残っただろうな」ですが。ブドリに思いやりを感じないわけではないけど、彼は技術の虜になっていったように見えたのよ。作品を読む限り、ブドリは技術を持って天候を左右することができる、手中に収めた、みたいな支配欲を感じたのよ。

 結果、ブドリと引き換えに飢饉を回避することになるけれど、それはあくまで結果だよなって感じた。それはそれでいいのだけど、本当に罪作りな作品だと思う。いかなる解釈も可能だもんね。


 かなり読みやすいので今までほど苦手とは思わない。ただ、賢治自身が目指したところが見定まらないのでなんぞもやもや。このもやもやも楽しもう。気が向いたらイーハトーヴも読もう。