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女のいない男たち

女のいない男たち

女のいない男たち

 今朝のニュースで春樹がイギリスでサイン会を開いたと知った。次こそはノーベル文学賞、とイギリスの方々が言っていた。異国の人から支持を得るのはどういう気分だろう。生活が全然違う人たちが、それはあちらから見てこちらもそうだが、日常の些細なことほどどんなふうに感じるのだろうか。物語は異国の人たちと私の壁を軽く越えてしまうからすごい。

 さて、この本は初版で買って温めておいた。否、放置してたんです。つい先日読み終えた。初期の春樹の短編たちを思い出す、けれども過去の作品全部を思い出させるような短編だった。物語のエッセンスは変わらないのだなあ。それがこの人のすごいところ。

 痛みをやりすごすことは、ツケを先送りにするようなことなんだろうか。いやいや、そうではないんだよ。生きてきたあれこれや、あの女や、でも罪と罰じゃなくて、それらは生きてきた垢みたいなもので、では逃げることなどできないのだよ。とかぶつぶつ思うのが楽しい読後でした。