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海辺のカフカ

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

 買ったときに一度読んだきりだったこれを再読。今年は長編小説の秋。

 最初に読んだときは何でこんなに面白くないのかなと思ったんだけど、今となっては何が面白くないのか理解不可能なほど面白い小説だった。というか、すごく分かりやすかった。そして春樹小説の登場人物のなかで最高に気障な人(少年だけど)だった。

 なぜ再読したかというと、村上さんのところでカフカファンがたくさんいたからだ。この本の中では自己紹介の必須項目みたいにどの作品が好きか各々が記したところから質問が始まる。変なの、と思ったけど私もそうすると思う。作者への敬意のひとつとしてね、そして私はスプートニクをやはりあげるんだけど。

 少年という生き物と父親という生き物の関係性のひとつの正解の姿がこれで、オイディプス神話をなぞることですごく肉々しく、憎々しく、成長という当たり前の通過儀礼が当たり前でないように、感じることができた。当たり前とは思うけど、当たり前で忘れちゃうようなイベントではないんだけど、それにはこういう意味も含まれている(かもよ)ぐらいの感じで、うん、まぁ少年から青年への成長は一度しかない貴重な瞬間なのだよね。そーだ、当たり前だ。

 少年から青年へを描くカフカ、その少し前にたけくらべを読んだ。これは少女から女性へのほんの少しの変化だけど、たけくらべは雑多なことばっかり書いているようで、とても透明で見つけたらその日が特別な日になりそうなぐらい綺麗な朝露のような、とんでもない透明感を感じたな。今でも十分新しい小説だった、どっちもね。

村上さんのところ

村上さんのところ