- 作者: 吉本隆明
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2006/12/10
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 76回
- この商品を含むブログ (47件) を見る
故吉本隆明さんの著書。ここに書かれてあるのは「ひきこもり」という社会事象に留まらず、現在の膿みについて書いてある。
吉本隆明さんの本はいくつか読んでいるけれど、これほどに温かく優しく、彼の弱さが出ている本はないと思う。彼はどこかで同級生にも「かなわねぇや」と思っていて、でも「俺はそうじゃなくて、こうなんだ」って思ってる。卑下も見下しもない、それこそ本当に対等な立場で。
「ひきこもり」について、善悪で判断するのはよくない。ひきこもる時期がある人もいれば、常々ひきこもりがちな人もいる。逆に社交的で誰かと一緒にいないと安心しない人もいる。そんな人々を誰一人批判しないで、「ひきこもり=悪だ、という社会が『ちがうんじゃねぇの』」って言ってる。至極全うだと思う。
彼はいわゆる「戦中派」です。だからわたしとは全く時代が違う。わたしたちは食うに必死で日々緊張感を持ったことが、一度もない。だから彼には「今の時代」のわたしたちがわからない。それについて自分の考えが「揺らいでしまいます」と書いてある。なんて素直な意見なんだ。わたしは彼のそういうところが好きで好きで仕方ないんだ。
一度だけしか読んでないけれど、既に折り目だらけ(苦笑)。