ひらいて

ひらいて

ひらいて


 綿矢さん、久しぶり? 評判がよかったので早々に読むことに。相当にこれは研ぎ澄まされた恐ろしいほどの感覚でした。これはすごい。本当にすごい。

 純文学離れが著しい昨今、彼女はずっと純文学を追い続けていると思う。勝手に思うことですから聞き流してください。わたしは純文学なんて退屈だと思っている。でも好きで好きで仕方ないので離れない。真摯にテーマと向かい合い、作者自らが自分を削るような作品に出会うと素直に感動する。この作品はまさにそれではないか。

 10代の女の子が主人公だ。どちらかといえば、出てくるほかの二人の方がテーマとしては書きやすいだろう。でもあえてこの人を主人公にし、五感をフルに使い、愛とか恋とか憎悪とか嫌悪とか、その瞬間をまさに切りたての柑橘の断面の如く香り立たせる。すごい。これはすごいとしか言いようがない。ここまで書ききっている作品はそんなに多くない。

 10代でデビューした彼女だが、彼女はもう10代ではないのだ。それなのに、この瑞々しさ。同時に成熟もしている。透明な、それこそ不純物のない汚れた気持ちだった。