生きることは物語を作ること、をテーマに日々哲学するブログ

生きるとは自分の物語を創ること

日々のじだんだ ~見習いみかん農家4年目~

雨を待っている1日

今日は昼間に雨が降った。といっても、二つ向こうの地域には雨雲レーダーの赤ゾーンが通ったのだけど、こちらはパラパラ。そんなもんです。雨を切望しています。

こんばんは、明日は収穫。

今日も今日とて、猪罠の見回りからスタート。全然かからない。それどころか近寄ってもくれない。そもそもの目的が「畑によってこないようにする」だから、これはある意味正解だし、勝ちということになるのだけど、どうも釈然としない。だってここ以外の場所には出てるじゃないの(畑じゃないけど)。

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なかなか、罠猟というのは複雑な心境になるものだ。

今日は甘平の裂果を落とした。

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甘平は裂果しやすい品種で、今現在はうっすら色づいている程度なのだけど、写真のように明らかに「赤いですよー」という子は割れている可能性が高い。

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こんな小さな割れでもしっかり腐っていくから詰み落とさなければならない。金八先生でも言うでしょう?「箱の中のミカンが一つ腐り始めると、他のミカンも腐ってしまう」ってやつ。あれは事実。そして樹上であっても当てはまる。だから裂果や傷みがある果実は詰み落とすのだ。

こればっかりやってると、赤くなってなくても小さな割れを発見する「鷹の目」が発動するから、人間の慣れってすごいなと思う。

そして午後からはカラマンダリンの枝を支える仕事。といっても、私が頑張って持ち上げるのではない。竹を切ってきて枝をつっかえるのだ。

カラマンダリンという品種はみかんくらいのサイズだけども、大量の実をつける。だから太い枝でも折れてしまうことがある。カラマンダリンは4月中旬以降の収穫の予定なので、まだ実は青くて小さいけれど、明らかに「これ、色づき出したらやばいね」っていう量の実がついている枝はあらかじめつっかえ棒をしておくのだ。

つっかえ棒の他に「枝つり」という方法もあるが、つる先の枝に大きな負担がかかると結局折れてしまうこともあるからね、つっかえ棒。

そんなこんなで今日は終わり。そして明日は早生みかんの収穫。だから早く寝よう。

絶賛収穫中です

こんばんは。珍しく夜。早生みかん、絶賛収穫中。といっても、早生みかんは色づきを見ながらの収穫になるので、いきなり全部とっちゃうことはないんだけどね。

毎日ジョロウグモの蜘蛛の巣に引っかかっている。
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こいつの蜘蛛の巣、強すぎて小鳥ぐらいなら捕まりそう。さすがに私は捕まりませんが。ものすごく引っかかるだけ。すごく。

みかんは小さい方が美味しいっていう伝説、どこから生まれたんだろうと思う。
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実際、小さくて美味しいものはある。でも、小さくても不味いものもある。逆に大きくても美味しいものもあるし、大きくてまずいものもある。個人的にはサイズの問題ではなく、適切な場所できちんと生育したかどうかだと思う。

適切な場所でっていうと「どこだよ」って感じだけど、だいたいは枝の先っぽにある垂れ下がる実で、日当たりが良くて色づきがいいものが美味しい。小さくっても日陰で色づきが悪いものは美味しくない。

柑橘は品種にもよるけど、樹上完熟させたらたいてい美味しくなる。美味しくなるんだよ本当に。でもそれが市場が求める時期と一致しない場合もあるわけで(概ね市場の呼び声が早いのだ)、よーく完熟した美味しい早生みかんを食べたければ11月中旬以降のものを買えばいいんじゃないかと思う。
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でも、産地によって完熟の時期は違うんだけどね。だから難しいね。まぁとにかくへたの切り口が小さくて、へたが枯れてなくて、色づきがいいものを選べばいいんじゃないだろうか(私ならそう選ぶ)。

色白なのにおいし~い、なんて温州みかんないからね。色づき大事よ。

2020年4月からみかん作りをしているけど、しみじみと思うのは「温州みかんが、一番作るの難しい」だ。あんなにお手頃で大量に売られているみかんなのに。
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紅まどんなやせとかの方が、いくらも難しい点はあると思う。だけど温州みかんはこんなにたくさん実をつける。だからこそいろいろと手入れが大変だなと思う。剪定とか、摘果とか。

そういうことを考えるたびに、こう思う。

だからって、ありがたがって食えってことを言いたいんじゃない

野菜でも果物でも、生産者はみんな大変な仕事をしている。どんな生産者であってもだ。でも、だからって「ありがてぇありがてぇ」って思って欲しいわけじゃない。ましては「食ってやるから売れ」なんて奴には売る気もしない。

そうじゃなくてな、どんなものにも誰かの労力や思いがこもっているんだよってこと、ちょっと思い出してほしいんだ。それが最強の無駄をなくすSDGsになるんじゃないかな。

先日送ってもらった長野県のお野菜の数々、びっくりするほど大きくて美味しかった。軸の一つも無駄にしたくなかったから、全部綺麗に食べちゃったもんね。そういうことじゃないのかな、持続可能な世界って。

おっと、月末じゃないか

おはようございます。月末だったわ。ただいまのみかんの仕事は「収穫」です。9月終わりに始まった極早生は早々に終わらせていたので、今回は慌てることなく早生みかん(宮川早生)の収穫に取り掛かることができた(と思う)。

温州みかんは日本全国に産地がある。そもそもみかんは「雪が積もらない地域」であれば育成可能らしい。でも美味しいみかんとなると話は別で、雨が少ない方がいいとか、土の質が品種にあったものの方がいいとか、色々と条件がある。

今は物流がすごいことになってるので、愛媛のみかんも東京や大阪に流れて行くのだけど、少し前は関西方面が主だったと聞いている(九州は九州のみかんがあるからさ)。みかんを乗せた船が瀬戸内を渡っていたということだ。もちろん今もあるだろう。

物流がこれほど発達していなかった頃から、みかんは各地で栽培され、シーズンが始まると消費者の元に届けられた。だから静岡の人は静岡のみかんが「いつものみかん」だし、九州の人は九州のみかんが「いつものみかん」、愛媛や香川もそれぞれの県のみかんが「いつものみかん」なのだ。

みかんのすごいところの一つは、お手軽さだと思う。温州みかんはぶっちゃけ安い。もちろん高級なみかんもあるけれど、多くは手に取りやすい価格で販売されている。私はそれがすごく嬉しい。だって、多くの人が食べられるってことじゃない? どんなにいいものでどんなに美味しいものでも、手が届かないほど高価だったらq多くの人が手に取れないわけで、それはちょっと寂しいと思うから。

で、収穫の様子。

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早生みかんは海が見える方だいの段々畑で行っている。だから踏ん張りすぎて足腰が痛い。

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おそらくカラスの悪戯。食うなら全部食え。

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うちは農協の出荷に合わせて収穫するのだけど、早生みかんは「色もぎ」と呼ばれる収穫の方法で行う。早い話が「色が6分なり9分なりついた状態で収穫する(=色がついていないみかんは収穫しない)」という感じだ。だから面倒だし、私はミスることも多い。倉庫で選別しながら「青いがな……」って思うこととかね笑

ま、そんなこんなでバタバタと繁忙期に突入いたしました。今季も頑張るぜー。

塩鯖がリフトの資格を取得した。この講習は4日間に渡って開催された。当日の朝が早いので前泊で行った。最終日は船の最終ギリギリまで講習があったので、帰宅したのは21時だった。

塩鯖の2021年は資格取得に明け暮れたようなものだった。地域の仕事に必要な資格を重点的に取得することになったのだけど、正直これは多すぎる。スーパー塩鯖になってしまった。おかげで少々くたびれている。

朝ドラの「おかえりモネ」はちょうど今週最終話だったわけだが、その中で「私がこの地域にできることってなんだろう」というテーマが何度も取り上げられたと思う。

モネは何度もこの問いに向き合った。そして最終回近くに「(ため息のような声で)いるだけで、いいんじゃないかな」という答えを出した。

これを見ていた私たち二人「んなわけねえだろ、本気でどうやったら役に立つこと考えろよ」と突っ込んだ。いやいや、マジでいるだけで地域が良くなるってことはないから。自己満足な仕事しかしないから成長しないんだよ。

まぁ、このドラマは40代の私たちの話ではなく、今の20代や30代の話で、その人たちの感性に合わせているのだろうけど、正直気持ち悪いシーンが満載だった。

初めの頃の、家族内で言い合いが起こった時、モネが居た堪れずにピィーーー!!と笛を吹いて場を誤魔化したことがある。もうこの時点で私はアウト、ダメだった。だって、せっかく妹と親が腹を割って話ができる機会だったのに、自分が我慢できないからってそんなことする? ネットでは「そうするしかなかったモネちゃんかわいそう」って書かれてたけど、そうやって避けて先延ばしにし続けるから、誰もはっきり言えないまま、傷が乾くことも、癒えることもなく過ぎちゃうんだと思う。

あと、親と親の友人の話にしれっと混じってるところ。これは「居間という大人の集う場所に同席することは、モネが大人になった象徴」と書かれていて少々ゾッとした。家族といえど一人の人だ。田舎だからってプライベートゾーンに地元の人が、たとえ仲の良い間柄であってもその子までもが、続々と入ってくることなんてない。田舎はなんでも分かち合って乗り越えてるんだなんて気持ち悪い先入観を上つけないで欲しいな。

それまでのモネが、特に盗み聞きのプロだったから成り立つのだろうけどね。この主人公は全て自分ではどうしようもないと思っているから、その話に加わっていけずにただ聞くだけだったってことだろうけど、いずれにしても盗み聞きしていることには違いないわけで、私は人の話を盗み聞きする人は嫌いなわけで、好きになれない。どうしようもないなら、せめて場から席を外せ。

ああ、すごくストレス溜まってた。モネ嫌いだ。みーちゃんは好きだ。

そうじゃなくて塩鯖よ。塩鯖は地域の人ではないから、すごく積極的に地域の行事や仕事に参加している。その姿勢は徹底していて感心し、心配になる程。

でもそれぐらいやってこそ、本当に役に立つことを知れるのだと思うし、地域から頼られる人になるのだと思う。間違っても「僕これができまーす(困ってるなら頼んできてね)」と最初に言っちゃうことはない。むしろそれをすると嫌われるよ大体。

 

相手の気持ちなんてね、究極言えば聞いたって分からないさ。人間が別なんだから。だから思いやることや、想像することが大事なんだと思うんだよね。経験値が少ないなら少ないなりに、間違いながらでもやっていくしかないんだと思うんだよね。一度や二度、人を傷つけることなんてあるさ。その度に自分も傷つくさ。でも、エスパーじゃないんだから努力するしかないことはあると思うよ。