
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/20
- メディア: 単行本
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コミックの原作だそうです。私は単行本があればいい。誰しもが持ってる「慈しむ」という感情を形にするとこれになる。
それにしても、小川洋子さんの静かな世界はいつ覗いても清々しい。いつもは雑な私も小さなレースを日に透かして見とれることができるんじゃないかと勘違いしてしまいそうだ。それはすごく危険なことで、雑ゆえに身についた(と思う)慎重さを、雑の世界に置き忘れて触れたら壊れてしまいそうな繊細なレースやカードに簡単に手を伸ばすであろうと想像できるから。架空の世界なんだからいいじゃないと思うところもあるけど、そういう錯覚を起こすことができるというのがすごいんだって。
神経質に「誰が」「いつ」「どこで」「なんのために」って考えなくていい気持ちにさせてくれるというのは、神経が開放されるなあ。自由だなあ。
久々に本を読んだらすごく気持ちが良いです。雑の世界に今もいるけど、慈しみを持ってものに触れたい。