風の又三郎
- 作者: 宮沢賢治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1989/03/01
- メディア: 文庫
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本当は青空文庫で読んだのだけど。賢治苦手はここでも本領発揮。
風の又三郎の一般解釈は、又三郎という人物は風土や地域や土着になじんでいる部分を達観したところからものを言う人、導く人、いわば指揮者、指導者的な立場である、と思っております。勝手に思ってるだけかもしれないのであてにしないように。
で、自分が読んでみて思ったのは、やはり気持ち悪い、です(笑)。やっぱ賢治苦手だなぁ。又三郎がすごく気持ち悪い。特に風貌なんて、恐らく後期の自身そのもののようで(実際マントとか羽織って走ってたそうですし)、で、その子供版となると相当に気持ち悪い。少年の皮をかぶった老婆みたいにも見えて、苦手でしたねー。
村の子供たちが又三郎はただものじゃないぞ、と思うところはそれぞれあるんですが、それぞれで又三郎に対して「恐怖」や「戦慄」を覚えたんじゃないかと思います。そこから防御反応が発動したというかね、そんな風に見えるんです。
又三郎は村の子たちにとっては異分子です。いきなり転校してきて、去ってゆく。村のどこにもなじんでない子です。そんな子がいきなり目を爛々とさせて「そうらみろ」と言うとか、怖いです。なにがしかを説く人であったんだろうけど、賢治と言う人の不安の出し方が上手すぎるのか、リアリティとメルヘンが妙なバランスですごく居心地が悪い。そういうところを目指して書いていたなら、すっげぇと思うんですが。
オマージュ作品は好きなものも多いので簡単に「好き」と言いたいですが、ちょっと今のわたしには奥底のぎらぎらした目が恐ろしすぎて、気持ち悪いと言っちゃいます。ははっ。ごめん。