
- 作者: 上田秋成,鵜月洋
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2006/07
- メディア: 文庫
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一応どれも読んだことはあっても、現代小説で使われることが多いのはやはし吉備津の釜だと思う。個人的にも好きな物語だが上田秋成のほうがいいなあと思うのはジャパニーズだからでしょうか。本当の原文だと読めないけどね! 時代が違うと言語が違うぐらい違うから!
校注が読みやすくてですね、これ。こっちが読みやすいかどうかは人によりけりだと思うけど、うーん、時代もろくすっぽ分からない私が読んでも「ああ、その言い回しはとてもよく分かる」と、もう和歌に近い読み方かな。でも読書の楽しみって想像の楽しみでもあるから、やはりこの語の後にこの語が続く心持ちとは、と想像して悦に浸るのが楽しい。
だから、結局、わたしの読書の楽しみ方というのは隅から隅まで密に明記された文書ではなくて、すかすかにもぎゅうぎゅうにも取れる余白の幅が好みのものをチョイスしているということになるのかな。
適切な例えになるかどうか分からないけれど、ヒッチコックの「鳥」は恐怖の塊なんだよね。でもCGが安価に駆使され始めてからの映画ってどうも立体感が消えてしまって面白くない。そんな感じです。
だからって白黒(アナログ?)に戻そうぜってことじゃないんだけど。難しい。しかし、自分ならこう解釈するっていうのを提示したくなる、そんな物語です。