大河ドラマ記録 太平記46-47
一気に見ちゃうと大変だ。
直冬が「お兄ちゃんのボクだって活躍したいんだもん!」と飛び出して行ったところで前回は終わり。と思っていたけど、九州で挙兵するところまであったんだった。でも京とは距離があるよね。ってことで京。
師直と直義との確執は深まるばかり。師直はどうにかして直義を殺したいんだけど、さすがに実弟とあって尊氏は生かしたい。だから暗殺も阻止して逃がした。その時ちょうど尊氏は挙兵した直冬を射ちに出陣するところだった。
この出陣には師直も一緒に行くのだけど、この師直、二条の君(公家の姫様)に「尊氏邸を囲んだとき天下とれるチャンスだったのに」とかさんざん言われてちょっと気持ちが揺れてたりする。歴史を知っている私は主君殺しがどうなるか知っているのでオススメはしないけれどもね。
そんな邪な気持ちのままに師直と尊氏は福岡まで行くんだけど、そこにきて直義が南朝方に降伏して寝返り、師直を討つと。それって尊氏も敵に回すってことじゃん、まさかそこまでして「正しい政」にこだわるかね、、と思っちゃいましたね。もう執着もここに極まれり。そうなるともう人ではない、そんな風にさえ見た。
この戦、尊氏&師直勢はコテンパンにやられて敗れる。そして直義から師直兄弟の身柄を要求される、が、尊氏それを突っぱねる。この時の尊氏かっこよかったなあ。実際にいつだって死んでいいやと思っていたのかもしれない。対象ならば決断するべき時というのがあるものだと思うが、ここまでの尊氏はそれを避けてきたようにも思う。その全てのツケという毒を、分かっていながら少しずつ飲んで、致死量に達してしまったかのような感じ。
この時、師直も邪な気持ちを持っていたことを告白し、尊氏のためになら死ねると自害しかけるが尊氏がそれを制するというシーンがある。ここはかなり良いシーン。ジーンとした。でもそんな師直を止めてまでして生かしたのに、京への帰り道で師直兄弟は暗殺されてしまうのだった。ここまでが47。
尊氏が晩年の北条義時のように「後々の憂いになるから」と人を殺められる人だったら、こんな血で血を洗うような戦をしなくても良かったのだろうか。いやそんなことはないだろうな。でも、邪魔だから殺したとしても新たに邪魔な奴が出てくるだけなんだよね。じゃあ誰も殺さずに平定を手に入れられるかというと、必ずしも手に入るとは限らない。それは今だってそう。
だけどどの時代の人だって、家族や大切な人を失いたくはないわけで、だから戦いのない世を求めてきたわけで、そういう名のない大きな望みが積もり積もって、今やっと実現できそうな気がするって思えるんじゃないかと思う。いやそれこそが危険な幻想なのかもしれない。
私は人間てとても野蛮で暴力的で残酷な面を持っていると思うのよね。例え邪悪さから遠ざけて育てたとしても、そもそもその種を持っているのだと思うのよ。そんな邪悪な種を持っているからこそ、淡い期待や危険な幻想を夢見てしまうんだと思うのよ。それが今この現実で果たせることなのかどうか分からないけど、少なからず何百年か前の誰かからのバトンなんだと思うのよね。次に繋いでいかねばね。